【RPA化】実際にやってみてわかった失敗と問題点の事例5選

RPA
この記事でわかること

RPAでの失敗した具体的な事例を5つに分けて紹介しています。

はじめに

私は外資系の国際物流企業で3年ほど前からRPA(自動化)のプロジェクトに携わっています。

現在、RPAの運用をはじめ、ロボットの制作は外部委託せずに基本的には自社の社員が行っています。

この経験をもとに、自社でのロボット制作や運用を中心に失敗したことを記事にしました。

失敗する5つの事例とは?

まずその5つの失敗事例を見てください。

  1. 野良ロボットだらけになった
  2. 複数の拠点に合わせたら使いづらくなった
  3. 無駄な業務をロボットがやり続けていた
  4. 不具合が発生して業務に影響してしまった
  5. もはやだれもその仕事のやり方がわからなくなっていた

最後の「5」は冗談に聞こえるかもしれませんが、真面目な話です。

では、具体的にどのような事が起きたのか書いていきます。

そして、どうすればこの様な失敗を回避できるのかという事も併せて書いていきます。

※本記事ではエクセルなどで作った小さなツールなども「ロボット」という表現に統一しています。

1. 野良ロボットだらけになった

この「野良ロボット」という言葉は聞いたことがありますか。

RPAについての書籍や記事などによく出てくる言葉です。

野良犬、野良猫と同じように、飼い主がいない、又はわからないロボットです。

もう少し正確に言うと、だれが管理していて、どのような動きをするか、第三者からみて判断がつかないロボットといえます。

場当たり的にロボットをつくってしまう事が原因のひとつ

私の会社にはVBAなどを上手く活用してRPAに貢献してくれる人が数名います。

そんな人が、日々の業務で便利なロボットを作ってくれるととても便利で助かります。

でも、気がつくとパソコンのデスクトップにはロボット達が沢山あって、どれがどのように動作するのかよくわからない状態になっていました。

不具合を修正してあるもの、無いもの、新しい機能を付けたもの、付ける前のもの。

ファイル名も自由気まま。

状況は日に日にカオスになっていきます。

ある人が、ひとつの面倒な作業だけをみて場当たり的にロボットを作る。

そして、便利なことがわかると、まわりのスタッフのパソコンにコピーされる。

この繰り返しが野良ロボットを量産します。

せっかくのRPAも限られた一部の人だけが恩恵をこうむることになります。

2. 複数の拠点に合わせたら使いづらくなった

RPAをやっていると、次第に、他の部署でも使えるようにと汎用性をもたせたRPAを作ろうと考えることがあります。

せっかく作るなら大阪の営業所でも使えるようにしようよ

当然出てくる要望ですね。

私も最初はそのほうが絶対に良いと思っていました。

大掛かりなRPAは要注意

拠点が違えば、仕事量や進め方、顧客も違います。

RPAは会社の基幹システムなどの使いづらさを解消することが大きな役割の一つです。

「どこでも使えるように」という事に注力しすぎると、運用時に利点が損なわれます。

つまり、「どちらにもイマイチ使いづらい」中途半端なロボットができてしまいます。

稼働後も改良、改修の際、調整に手間がかかって身動きが取れなくなってしまいました。

アジャイル型開発が効果的

アジャイル(agile)とは「素早く」というような意味です。

アジャイル型の開発は、問題(業務上の不便さ)に対して、まず簡単な動きのものを作ってみて、手直ししながら作り上げていく様な開発の仕方を言います。

この開発方法は、いまあげた二つの失敗例、

  1. 野良ロボットの量産
  2. RPAが現状とマッチしていなくて使いづらい

これらを回避するためにとても有効な手段となります。

野良ロボットをアジャイル型開発の一部と考えると、アイディアの種となり得ます。

そして、小さなロボットを作ったら、ほかの拠点とも情報共有します。

小さなバージョンアップを続けていくことで、成果を出しながら制作をすすめることができます。

また、オーダーメイド的な便利さと汎用性のバランスをとる良い方法です。

3. 無駄なレポートが永遠に

「このレポートって何に使っているのだろう」と思うことがあります。

安易にレポート作業などを自動化するとこういった意味不明のレポートが永遠に作られ続けます。

一度自動化すると業務の必要性を考えない

「喉元過ぎれば熱さ忘れる」と言いますが、まさにそのとおり。

自動的にやってくれればその仕事が本当に必要だったのかなんて考えなくなって当然です。

私の職場で、毎日「面倒くさいなぁ」とおもっていたレポートがありました。

これを自動化してサクッと一瞬で片付けられるようになったのです。

「自動化って便利だなぁ」

そう思っていたけど、調査したら実はだれも見ていなかった。
(※他のレポートで必要な数字が網羅されていた。)

自動化の前にスリム化

面倒な作業に対する効果的な改善策のひとつは、ずばり「やらない」ことです。

それができない場合、次の一手が自動化です。

効率化と自動化は似て非なるもの。

自動化をする前に、「本当に必要か?」「もっと簡略化できないか?」と問いかけてみるといいですね。

いざ作るとなっても、簡略化した作業を自動化するほうがはるかに制作は楽になります。

ロボットにもインベントリーを

作業の必要性を考えてから自動化に取り組むということは、1で述べた野良ロボットの問題にも直結します。

自動化された後も、その作業内容も含めて、ロボットの定期的なインベントリー(棚卸し)が必要です。

4. 不具合が発生して業務に影響してしまった

自動化を始めると、当然ながら自動化有りきでスケジュールが動きます。

一番忙しいときに不具合発生なんてことも。

作った人がやめて保守できない

ある日、z2不具合が発生してプログラムを見てみましたが、なかなか不具合原因が特定できません。

時間に追われる仕事なので、まわりも焦り初めます。

実は、このロボットは作った本人が既に退職してしまっていたのです。

仕様書の必要性

仕様書をつくって保管しておくことはとても大切です。

プログラムのコメントアウトもわかりやすくしておきましょう。

基幹業務に使うなら慎重に

5. もはやだれもその仕事のやり方がわからない

先程の例のように、ロボットに不具合が発生して、人がやらなくては行けない状況になったのですが、もうそれを出来る人がいなかったのです。

ロボットに任せると人はやり方を忘れてしまう

毎日ロボットがやってくれているのに、わざわざ自分でやってみようとは思いませんよね。

あんなに大変な思いをして毎日やっていたのに、自動化して数週間も経つとすっかりできなくなってしまいます。

作業マニュアルの必要性

ロボットを使わない場合の作業マニュアルです。

ロボットが不具合を起こしたときのために、ロボットに実行させている作業は言語化しておく必要があります。

もしものときの人員確保

不具合時が発生したとき、責任者がまず考えるのは次の2つでしょう。

  1. すぐに改修が可能か?
  2. すぐに改修が無理ならどうするか?

1が可能ならそれで解決です。

2の場合、対応するには一時的にある程度の人員が必要になる可能性が高くなります。

管理職の立場にある人は、別の部署やグループから人員を借りてくることが出来るように普段からの枠組みをつくることが必要です。

まとめ

最後に5つの失敗例をもう一度見てみましょう。

  1. 野良ロボットだらけになった
  2. 複数の拠点に合わせたら使いづらくなった
  3. 無駄な業務をロボットがやり続けていた
  4. 不具合が発生して業務に影響してしまった
  5. もはやだれもその仕事のやり方がわからなくなっていた

RPAでもっとも重要で難しいのがガバナンス(管理)です。

そして、管理していくうえで大切なのが情報共有です。

情報が共有されることで、

  1. 野良ロボットは宝の山となります。
  2. ほかの営業所の問題も解決する可能性が出てきます。
  3. 無駄な制作がなくなります。
  4. トラブルの発生に柔軟に対応できるようになります。
  5. 業務内容をより深く理解することができるようになります。

今回の記事は以上となります。

RPAをお考えの方のお役に立てば幸いです。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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